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おもてなし2.0 新時代のおもてなしサービス経営への提言 Vol.5

おもてなしにおいて、顧客満足より先に考えること

2017.03.29
EY総合研究所 金城 奈々恵

本コラムシリーズの第2回第3回では、優れたおもてなしを生む経営における顧客満足と従業員満足の取り組みの重要性について、議論しました。顧客満足(CS)イコール従業員満足(ES)と、当たり前のように言及されるようになるなど、二者は切り離すことができない関係です。

顧客満足と従業員満足の両者に取り組むことの重要性を、<図1>で示します。これは、弊社が2016年に行った「おもてなしの経営に関する企業調査」の結果の一部です。この図では、顧客満足と従業員満足の取り組み度合いがどちらも全体平均より高い企業(Ⅰ)は、売上成長率が6.7%と高いことが分かります。どちらか一方の満足の取り組み度合いが高い企業(Ⅱ、Ⅲ)の売上成長率との差は、歴然です。顧客満足と従業員満足の両輪で取り組む企業のほうが、業績も良いことを示唆しています。

図1 従業員満足・顧客満足の取り組み度合い別 平均売上成長率

(下の図をクリックすると拡大します)

注:平均売上成長率:直近3期分の平均売上成長率。当期売上成長率=((今期売上額―前期売上額)/前期売上額*100)
出典:EY総合研究所 「おもてなしの経営に関する企業調査」

このように、顧客満足と従業員満足への取り組みは、おもてなしの経営を考える上では重要だといえます。さらには、顧客満足よりも先に従業員満足向上へ取り組むことが、より重要だと考えます。

従業員満足とは、第3回のコラムでも述べたように、単に従業員の待遇をよくするという話ではありません。従業員がこの会社で必要とされているか、大切にされているかを感じること、自分の能力を最大限発揮し、やりがいを感じながら働くことだと考えます。

従業員は自分が会社に大切にされていると感じられなければ、お客様一人ひとりを大切にすることは難しいはずです。これは従業員満足の状況が、企業のおもてなしのサービス品質に大きく影響することを意味します。

また、第3回のコラムでは、人財マネジメントはおもてなしの生産工程だと述べました。さらに具体的にいうと、従業員満足を満たすことは、おもてなしの生産工程における必須条件になると考えます。従業員満足が先に達成された上で、顧客満足への流れをつくるとの考え方です。このようなプロセスで捉えると、自然に従業員満足を先行して取り組むことができるのではないでしょうか。

弊社のインタビューでも、おもてなしに優れた企業においては、顧客満足よりも従業員満足を重視するとの声が共通してありました。

さて、皆さまの会社においては、顧客満足、従業員満足の優先順位はありますか。また、顧客満足と従業員満足は一体で、かつ「流れ」として捉えられていますか。

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